私は音楽に関する仕事をしている。音楽の研究もしている。研究に基づいた作曲もする。研究とは関係のない作曲の仕事もしていたが、最近は研究と仕事に集中するためほとんど依頼を断っている。
これまで作曲はPCだけで完結していたが、自分が納得する音楽を作るためには楽器が必要だと気付いた。その時から、物欲や楽器の自作欲が湧き始めた…
ここ数日大阪に出張していた。2人の上司と一緒だった。我々3人は音楽が大好きだし、演奏もする。そんな人達が集まってしまったら、、、欲しい楽器や、各々の好きなものの話が止まらない。
我々3人はシンセサイザーが好きだ。出張の空いた時間にみんなで大阪の有名なシンセサイザーショップに向かった。私たちにとっての天国でもあり地獄でもあるそのお店で、慣れた手つきでシーケンサーを打ち込み、シンセを鳴らしてエフェクターの試奏をする上司や、真っ赤なボディが特徴の、爽やかでまっすぐなサウンドが特長のアナログモデリングシンセに心を掴まれる上司、そして他のお客さんが立ち止まって眺める程の、試奏を超えた2人ライヴさながらのセッションを「楽しそうだな〜」と思いながらお目当てのシンセがありつつも見逃した私。しかし誰1人機材を買わなかった。それには各々の理由がある。
その後も仕事終わりに居酒屋でシンセの話をした。全員物欲が盛り上がってきたところでその日は解散した。
帰りの高速道路では車の話をした。1人の上司が車についてとても詳しい。その上司の車は見た目も中身も非常に素敵な一台で、その車に乗ってしまった私は、車が好きだった小さい頃を思い出していた。
私は近いうちに東京からちょっとばかり遠いところに引っ越す予定がある。そこでは車を持っていた方が圧倒的に生活しやすい。とは言ってもすぐに車を手に入れられるわけではないが、上司との会話と上司の運転する車によって欲求がかなり高まった。
欲しいものがたくさんある。しかし物をたくさん持っているのは嫌いだ。すでにたくさんの物を持っているが95%は使っていない、と思う。
僕は自分の活動に最適な物だけを持っておきたいタイプだ。そのためにはいろいろと試してみる必要があるのかもしれない。買って試して売ることは自分にとってあまり良くない循環だと思っていたが、トライアルアンドエラーの数を増やして制作物のクオリティを追求することに繋がると考えると、それほど悪いことではないのかもしれないし、最適な物が何かを発見するには考えるより使ってしまった方が早い。
その前に使っていない95%の整理が必要ではあるのだが。